【処方箋 No.015】「いつかバレる」と怯える夜のための、等身大の自己受容
玉座に座る王様も、結局は自分の「尻」の上に座っているだけです。
【患者の訴え】
先生、怖くてたまらないんです。仕事で評価されたり、昇進したりするたびに、「これは間違いだ、運が良かっただけだ」と思ってしまいます。 周りは私を「優秀な人」と見ているようですが、本当の私は全然すごくないし、いつかこの「メッキ」が剥がれて、無能だとバレる日が来るんじゃないかとビクビクしています。まるで、みんなを騙している詐欺師になった気分です。褒められるのが、逆にプレッシャーで息が詰まりそうです。
【診断】
あなたの症状は、哲学的には「人間性の隠蔽(いんぺい)」による孤独と診断されます。 あなたは「立派な成果を出した人」は、中身も「自信満々で完璧な超人」でなければならないという幻想を持っています。だから、不安や弱さを抱えた自分を「偽物だ」と感じてしまうのです。 でも、モンテーニュ先生はこう言っています。「もっとも美しい魂とは、もっとも普遍的で人間的な魂である」と。 あなたが苦しいのは、あなたが詐欺師だからではありません。あなたが「人間(弱さや不安を持つ存在)」であることを、自分自身に許せていないからなのです。
【処方箋】
モンテーニュ先生は、あなたに「玉座の上の尻」という視点を贈ります。
理論の解説: 先生の有名な言葉にこういうものがあります。 「世界で最も高い玉座に座っているとしても、人は自分の尻の上に座っているにすぎない」。 社長も、総理大臣も、憧れのあの人も、偉そうな椅子に座っていますが、そのお尻はあなたと同じ、ただの生身のお尻です。彼らも家に帰れば靴下に穴が開いているかもしれないし、トイレにも行くし、夜中に「これでいいのかな」と悩むこともあります。 あなただけが「中身のない偽物」なのではありません。全員が、等身大の自分を必死に支えながら、役割という仮面を被っている「同志」なのです。
アクションプラン:
「運」を「実力の一部」として領収する 「運が良かっただけ」と言いたくなったら、「運を掴める場所に立ち続けたのは私だ」と言い直してください。幸運も、あなたの人生のストーリーの一部です。堂々と受け取っていいのです。
他人の「尻」を想像する 会議で偉そうにしている上司や、完璧に見える同僚を見たら、「まあ、この人も自分の尻の上に座ってるだけだしな」と心の中でつぶやいてみましょう。相手の「権威」という魔法が解けて、同じ人間として見られるようになります。
小さな「カミングアウト」をする 「実は自信がないんです」「ここはよく分かっていなくて」と、信頼できる相手に少しだけ弱音を吐いてみてください。バレるのが怖いのは、隠すからです。自分から見せてしまえば、「詐欺師」の疑いは晴れ、逆に「誠実な人だ」という信頼に変わります。
【用法・用量】
この考え方を取り入れると、過度なプレッシャーが消え、「完璧じゃなくても、まあなんとかなるか」と気楽に構えられるようになります。
ただし、あまりに「どうせみんな大したことない」と相手を舐めすぎると、態度に出て怒られる副作用があります。あくまで心の中で、相手の人間らしさに親しみを感じる程度に留めてください。
あなたが自分を「偽物」だと疑うのは、あなたが自分の仕事に対して誰よりも「誠実」でありたいと願っている何よりの証拠ですよ。
お大事に。
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