【処方箋 No.014】「失敗するかも」という不安は、自由であることの証明書
不安なのは、あなたが「可能性」という名の崖に立っているからです。
【患者の訴え】
先生、今の会社に未来がないことは分かっているんです。毎日同じことの繰り返しで成長も感じられないし、もっと自分に合う仕事があるんじゃないかと転職サイトを眺めたりもします。 でも、いざ応募しようとすると指が止まるんです。「もし転職先が今より最悪な環境だったら?」「もし失敗して路頭に迷ったら?」と悪い想像ばかり膨らんで、結局「今のままでも生活はできているし……」と自分を納得させてしまいます。変わりたいのに動けない自分が情けなくて、苦しいんです。
【診断】
あなたの症状は、哲学的には「可能性の不安(自由のめまい)」と呼ばれる状態です。 キェルケゴール先生は、「不安とは、自由のめまいである」という名言を残しました。 想像してみてください。あなたは今、高い崖のふちに立っています。下を覗き込むと、「落ちたら死ぬかもしれない」という恐怖を感じますよね。でも同時に、「自ら飛び込むこともできる」という恐ろしいほどの自由も感じているはずです。 あなたが動けないのは、あなたが弱いからではありません。目の前に「転職して人生が変わるかもしれない」という無限の可能性(自由)が広がっていて、その大きさに目がくらんでいる状態なのです。不安は、あなたが自由な人間である証拠なのです。
【処方箋】
キェルケゴール先生は、あなたに「主体的真理への跳躍(リープ)」という決断を処方します。
理論の解説: これを「プールの飛び込み台」に例えてみましょう。 飛び込み台の上で「水は冷たいかな」「うまく着水できるかな」と迷っていても、正解は出ません。どれだけ計算しても、未来の結果(客観的な真理)は誰にも分からないからです。 しかし、思い切って飛び込んだ瞬間、冷たさや衝撃は「あなただけの体験(主体的真理)」になります。人生も同じです。安全地帯で計算している間は何も始まりません。「これが私の人生だ」と言える真実は、論理的な計算の先ではなく、えいやっ!と飛び込んだ先(決断)にしか存在しないのです。
アクションプラン:
不安を「相棒」として歓迎する 不安を感じたら、「うわ、怖い」と逃げるのではなく、「おっと、今私は自由を感じているな」と言い換えてください。不安の大きさは、これから手に入る可能性の大きさに比例します。
「みんな」ではなく「私」が決める 「一般的には安定が良い」「普通は35歳まで」といった世間の常識(客観)を一旦捨てましょう。「私にとって何が大切か」だけを考え、自分で選んだ道なら、たとえ苦労しても後悔はしません。
小さな「実験」から始める いきなり退職届を出すのが怖ければ、まずは副業を始めたり、興味のある業界の人と話したりと、小さな「跳躍」を試してみましょう。足の指先を水につけるだけでも、世界は変わります。
【用法・用量】
この考え方を取り入れると、不安が「行動を止めるブレーキ」から「挑戦を促すガソリン」に変わります。
ただし、キェルケゴール先生のように悩みすぎて婚約破棄までしてしまうと生活に支障が出るので、現実的な生活防衛資金(貯金)の計算は冷静に行ってください。
冒険することにはリスクがありますが、冒険しないことには「自分を失う」という最大のリスクがあります。
お大事に。
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