【処方箋 No.022】日曜夜の「明日が怖い」を消す静かな思考法
日曜の憂鬱は心が暇な証拠です。無理に騒がず、静かな部屋で自分と向き合いましょう。
【患者の訴え】
先生、助けてください。日曜日の夕方から夜にかけて、猛烈な絶望感に襲われるんです。
「サザエさん」の音楽が聞こえてくると、もう終わりだ…って。明日からまた仕事や学校が始まると思うと、胸がギュッとなって吐き気がします。このまま時間が止まればいいのに。今の自分が空っぽで、明日からの毎日に何の意味もないような気がして、ただただ怖いんです。
【診断】
あなたが今感じているのは、哲学用語でいう「気晴らし(ディベルティスマン)」が切れた状態です。
パスカルは「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないことから起こる」と考えました。平日の忙しさは、私たちが「人生の虚しさ」や「死」といった根本的な不安から目をそらすための「気晴らし」です。
日曜日の夜、その忙しさがプツンと途切れたとき、あなたは強制的に「何者でもない自分」と向き合わされています。その静寂が怖くて、絶望感として現れているのです。
【処方箋】
今のあなたに必要なのは、無理に元気を出すことではなく、その「静寂」をあえて受け入れることです。
理論の解説: この状況を「遊園地の帰り道」に例えてみましょう。 平日はジェットコースターに乗っているようなもので、叫んでいる間は余計なことを考えずに済みます。でも、日曜の夜はアトラクションがすべて止まった閉園後の遊園地に一人で立っているようなものです。急に静かになるから、不安になるのは当然です。 パスカルは、王様でさえも「狩り」や「遊び」という気晴らしがなければ、自分の惨めさを考えて不幸になると言いました。つまり、あなたが今感じている絶望は、人間としてごく自然な反応なのです。
アクションプラン:
「気晴らしの依存」を自覚する:SNSをダラダラ見たり、お酒で紛らわしたりするのは、一時的な「麻酔」に過ぎません。まずは「あ、今自分は気晴らしが切れて、自分自身と向き合っているんだな」と実況中継してみてください。
5分間だけ「考える葦」になる:スマホを置いて、静かな場所で座ってください。パスカルは人間を「自然界で最も弱い葦(あし)に過ぎないが、それは考える葦である」と呼びました。明日への不安を消そうとするのではなく、「なぜ自分はこれほどまでに明日を恐れているのか?」と、自分の弱さを観察する時間に当てるのです。弱さを認めたとき、逆に心は落ち着きを取り戻します。
【用法・用量】
「何もしない時間」は無駄ではなく、人間としての品格を取り戻す時間です。
日曜夜の絶望を「自分を深く知るチャンス」と捉え直すと、少しだけ呼吸が楽になります。
ただし、パスカルのように「宇宙の無限の沈黙」まで考えすぎると、本当に怖くなって眠れなくなる副作用があるので注意してください。深淵を覗き込みそうになったら、温かいホットミルクを飲んで、物理的に思考をシャットダウンしましょう。
明日のあなたも、考える力を持った尊い存在です。お大事に。
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