お金・格差

【処方箋 No.045】暴落で失ったのは「数字」だけ。あなたの魂は1円も損をしていない

処方医: Dr. ルキウス・アンナエウス・セネカ
2026年2月1日
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運命(相場)が与えたものを、運命が回収しただけのことです。

【患者の訴え】

先生、もう立ち直れません。将来のためにとNISAや個別株でコツコツ投資してきたお金が、今回の暴落で一瞬にして溶けてしまいました。 「あの時売っておけばよかった」「なぜあんな銘柄を買ってしまったんだ」という後悔で、夜も眠れません。汗水垂らして働いたお金が消えていくのを見ていると、自分の人生まで否定されたような気分になります。失った金額の大きさに、手が震えて吐き気さえするんです。

【診断】

あなたの症状は、哲学的には「運命(フォルトゥナ)への越権行為」による反動です。 ストア派では、この世を「自分の意のままになるもの」と「ならないもの」に分けます。市場価格(相場)は、天候と同じで完全に「意のままにならないもの」です。 あなたは、コントロールできないはずの「相場の結果」を、自分の力でコントロールできると思い込んでいました。だから、予想が外れた時に「自分のせいだ」と必要以上に自分を責めてしまうのです。 また、あなたは失ったお金を「自分の体の一部」だと思っていましたね? だから切り離された時に激痛が走るのです。しかし、富とは本来、あなたの外側にくっついている「剥がれやすいメッキ」にすぎません。

【処方箋】

セネカ先生は、あなたに「返却の精神」を処方します。

理論の解説: 「私は損をした」と言ってはいけません。「私は返した」と言いなさい。 あなたの財産、土地、そして家族さえも、運命(神や相場)から一時的に「預かっていた」ものにすぎません。旅先のホテルで借りたタオルを返す時に、泣き叫ぶ人はいませんよね? 相場で得た利益も、元本さえも、運命が気まぐれに貸してくれていたものです。運命は貸す権利もあれば、突然「返せ」と回収する権利も持っています。 「もともと自分のものではないものを、持ち主に返しただけだ」。そう考えれば、心は穏やかさを取り戻します。失ったのではなく、契約期間が終わったのです。

アクションプラン:

「高い授業料」の領収書を切る 失った金額を、「市場の変動リスクと自分のリスク許容度を学ぶためのセミナー代」として計上してください。この痛みを持って学んだ経験は、今後一生あなたを守る「暴落しない資産(知恵)」になります。賢者は、転んでもただでは起きません。

「嵐の海」で船長を責めない 航海(投資)に出れば、嵐(暴落)に遭うのは自然の摂理です。嵐が来た時、「なぜ嵐が来たんだ!」と自分を責める船長はいません。「次はどう船を立て直すか」だけを考えます。過去のチャートを見て嘆く時間を、次の航海計画を練る時間に変えましょう。

残ったものを数える お金は減りましたが、あなたの命、健康、知識、そして品格は、1ポイントも暴落していません。本当に大切な「中核資産」が無傷であることを確認してください。市場はあなたの財布を軽くすることはできても、あなたの魂を貧しくすることはできません。

【用法・用量】

この考え方を取り入れると、相場の変動に一喜一憂しなくなり、「お金は単なる道具」というクールな距離感を保てるようになります。

ただし、「どうせ運命だから」と勉強もせずにギャンブル的な投機を繰り返すのは、ストア派ではなくただの愚か者です。人事を尽くして天命(相場)を待つ、という姿勢を崩さないでください。

お金は失っても、また稼げばいい。しかし、後悔で時間を失うことこそが、取り返しのつかない本当の損失ですよ。

お大事に。