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【処方箋 No.028】「選ばれない恐怖」を捨てて、「愛する能力」を持つ人になる

処方医: Dr. エーリッヒ・フロム
2026年2月1日
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愛とは「運」ではなく、練習して習得する「技術」です。

【患者の訴え】

先生、ふとした瞬間に猛烈な恐怖に襲われるんです。「もし、このまま一生独身だったらどうしよう」って。 周りが結婚して家庭を持っていく中、自分だけが取り残されていく。老後、誰もいない部屋で一人で死んでいく自分の姿を想像すると、震えが止まりません。 「誰からも選ばれない自分」には、人間として致命的な欠陥があるんじゃないか。そう思うと、自分の存在価値がゼロになったようで、惨めでたまらないんです。

【診断】

あなたの苦しみは、哲学的には「愛を『対象』の問題だと勘違いしている」状態です。 多くの人は、愛を「愛すること(能力)」ではなく、「愛されること(対象)」の問題だと考えています。 「素晴らしい相手さえ見つかれば、愛は自動的に生まれる」と思い込んでいるのです。だから、あなたは自分が「市場で売れ残った商品」のように感じて焦っている。 しかし、フロム博士は言います。「愛とは、特定の相手に対する関係ではなく、世界全体に対する態度(性格)である」と。 あなたが怖いのは、独身だからではありません。あなた自身が、愛を「受動的な運」任せにしており、自ら能動的に愛する力(技術)を信じられていないから怖いのです。

【処方箋】

フロム博士は、あなたに「愛する技術の習得」を処方します。

理論の解説: これを「画家」に例えてみましょう。 絵を描く技術を全く練習していない人が、「完璧なモデル(理想の相手)さえ現れれば、素晴らしい絵が描けるのに」と嘆いていたらどう思いますか? おかしいですよね。 愛も同じです。愛は、相手次第で発生する「感情の波」ではなく、訓練が必要な「技術(アート)」です。 「結婚している=愛の成功者」ではありません。結婚していても愛する技術がなければ、二人は孤独です。逆に、独身であっても「愛する技術」を持っている人は、世界と深く繋がっており、孤独ではありません。目指すべきは「結婚」というステータスではなく、「愛する能力を持った人(Loving Person)」になることです。

アクションプラン:

「愛されるための努力」を休む 「もっと痩せなきゃ」「年収を上げなきゃ」という、自分を商品として高く売るための努力を一旦やめてください。それは商取引の準備であって、愛の準備ではありません。

「一人でいる能力」を高める フロム博士は「一人でいられる能力こそが、愛する能力の前提条件である」と言います。逆説的ですが、寂しさから逃れるために誰かにしがみつくのは愛ではありません。一人でも充実して生きられる二人が出会った時、初めて健全な愛が生まれます。まずはスマホを置いて、一人で静かに過ごす時間を楽しむ練習をしてください。

特定の相手以外を「愛する」練習をする まだ見ぬパートナーを探す前に、同僚、友人、あるいは道端の花や動物に対して、愛の4要素(配慮、責任、尊重、知)を実践してください。「特定の誰か」しか愛せないのは、愛ではなく「拡大された自己中心主義」です。世界全体を愛する態度を持った時、あなたは誰からも恐れられない、温かい存在になります。

【用法・用量】

この考え方を取り入れると、「選ばれるのを待つ」という不安定な立場から、「自ら愛を与える」という能動的で強い立場へとシフトできます。

ただし、愛の技術の習得は、ピアノやスポーツと同じで一朝一夕にはいきません。「今日もまた寂しさに負けた」と自分を責めず、日々の小さな練習(誰かに親切にする、話を真剣に聞くなど)を積み重ねてください。

独身であることは、孤独であることを意味しません。愛する技術さえあれば、あなたはいつでも、どこにいても、世界と繋がることができます。

お大事に。

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