人間関係・SNS

【処方箋 No.011】「いいね!」の檻から脱出し、本当の自分を取り戻す

処方医: Dr. セーレン・キェルケゴール
2026年1月31日
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他人の視線という「大衆」の中に、あなたという宝石を埋もれさせてはいけません。

【患者の訴え】

先生、スマホを開くのが怖いんです。インスタやX(旧Twitter)を見ると、同年代の友達が豪華な食事をしていたり、仕事で成功して表彰されていたり、幸せそうな家族写真を載せていたり……。それに比べて自分は、毎日同じような服を着て、安いお弁当を食べて、これといった実績もない。画面の中の「キラキラした世界」と自分の現実のギャップが激しすぎて、自分がひどく惨めな人間に思えてくるんです。

【診断】

あなたの苦しみは、哲学的には「水平化(すいへいか)」という現象に飲み込まれている状態です。 キェルケゴール先生は、新聞や噂話(現代で言うSNS)を通じて、人々が「世間一般」という顔のない大きな塊(大衆)に溶けてしまうことを「水平化」と呼びました。 あなたが落ち込むのは、あなたがダメだからではありません。SNSという「他人の視線の海」の中で、自分という個性の輪郭がぼやけ、「誰かと比べて優れているか劣っているか」という平均的な物差しだけで自分を測るようになってしまったからです。

【処方箋】

キェルケゴール先生は、あなたに「単独者(たんどくしゃ)」という生き方を贈ります。

理論の解説

これを「カラオケの採点機能」に例えてみましょう。 SNSで他人と比べるのは、常に「全国平均点」を気にしながら歌っているようなものです。平均より低いと落ち込み、高いと優越感に浸る。でも、そんな風に「点数」ばかり気にしていたら、あなたが本当に込めたかった感情や、あなたにしか出せない歌声の魅力はどこかへ消えてしまいます。 キェルケゴールは言います。「客観的な点数」なんてどうでもいい、大切なのはあなたがその歌を「どう感じ、どう魂を込めて歌うか」という主観的な真実なのだと。誰とも比べられない、たった一人の「単独者」としてマイクを握ることこそが、人間が絶望から救われる唯一の道なのです。

アクションプラン

「世間のニュース」より「自分の心の声」を聞く スマホの通知をオフにして、画面の中の他人の物語ではなく、今の自分が何を食べたいか、何に感動したかという小さな主観を大切にしましょう。

匿名の大衆(フォロワー)ではなく、具体的な「誰か」を想う 不特定多数に「いいね!」を求めるのをやめましょう。たった一人の大切な友人や、自分自身に対して、誠実であることに集中してください。

絶望を「飛躍」のチャンスにする 「自分はダメだ」という絶望は、実はあなたが「自分らしく生きたい」と強く願っているエネルギーの裏返しです。そのエネルギーを、誰かの真似ではない、あなた独自の挑戦へとぶつけましょう。

【用法・用量】

この考え方を取り入れると、他人の評価という呪縛から解き放たれ、自分の人生の主権を自分自身に取り戻すことができます。

ただし、あまりに「単独者」を極めすぎて、誰の意見も聞かない頑固者になりすぎると、周囲から孤立する副作用があります。たまには他人の「いいね!」を素直に喜ぶ、愛嬌という名のサプリメントも併用してください。

あなたは誰かの引き立て役でも、統計データの一部でもありません。あなたという宇宙の主役は、あなた一人です。

お大事に。