【処方箋 No.004】流行りの「資格」より、自分だけの「レシピ」を見つける技術
武器を選ぶ前に、自分がどの「職業」で冒険したいかを決めましょう。
【患者の訴え】
先生、会社からも世間からも「リスキリングだ」「学び直しだ」と急かされて、正直パニックになっています。プログラミングがいいと言われれば本を買い、英語が大事だと言われればアプリを入れますが、どれも長続きしません。周りがどんどん新しいスキルを身につけていく中で、自分だけが何の手札も持たずに取り残されていくようで、毎日が不安で仕方ないんです。結局、私は何を勉強すればいいんでしょうか?
【診断】
あなたの苦しみは、哲学的には「エルゴン(機能)」を見失っている状態です。 アリストテレスは、すべてのものには「エルゴン(それが果たすべき固有の働き)」があると考えました。包丁のエルゴンは「よく切れること」、フルートのエルゴンは「美しい音を出すこと」です。 あなたが今、何を選択していいか分からず焦っているのは、自分の「エルゴン」が何なのかを考えないまま、とりあえず流行りの「部品」をかき集めようとしているからです。目的がないまま部品だけ集めても、それは動かない機械と同じで、虚しさを生むだけなのです。
【処方箋】
アリストテレスは、あなたに「アレテー(卓越性)」という概念を贈ります。
理論の解説: これを「RPG(ロールプレイングゲーム)」に例えてみましょう。 あなたは今、武器屋の前で「剣を買うべきか、杖を買うべきか」と悩んでいます。でも、その答えを出すために一番大切なのは、あなたが「勇者」になりたいのか、「魔法使い」になりたいのか、という職業(エルゴン)を決めることです。 勇者になりたい人が必死に魔法の呪文を勉強しても、それは自分自身の「アレテー(その人らしい良さ)」を発揮することにはつながりません。リスキリングとは、単に新しい知識を詰め込むことではなく、自分が本来持っている良さを、今の時代に合わせて「最も輝く形(アレテー)」に磨き上げることなのです。
アクションプラン:
「何が好きか」ではなく「何が得意か」を棚卸しする アリストテレスは「活動」の中に喜びがあると言いました。あなたが時間を忘れて没頭できることや、人から感謝されることは何ですか?それがあなたのエルゴンのヒントです。
「中庸(ちゅうよう)」を意識する 極端に走りすぎてはいけません。「寝る間も惜しんで勉強する」のも、「何もしない」のも不適切です。自分にちょうど良い、持続可能な学習ペースを見つけることが大切です。
知識を「徳(習慣)」に変える ただ知っているだけでは意味がありません。学んだことを少しずつ実生活で使い、それが「当たり前の習慣」になるまで繰り返しましょう。
【用法・用量】
この考え方を取り入れると、他人の進捗に惑わされず、自分にとって本当に必要な学びを自分のペースで選べるようになります。
ただし、アリストテレスのように「万学の祖」を目指そうとして、あらゆる学問に手を出そうとすると、一生かかっても勉強が終わらなくなるので注意してください。
まずは「自分という楽器」が一番いい音を出すための練習を始めましょう。
お大事に。
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