人間関係・SNS

【処方箋 No.017】「情報の空白」こそが、あなたの心を癒やす最高の贅沢

処方医: Dr. ブレーズ・パスカル
2026年2月1日
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世界中の不幸は、部屋に一人で静かにしていられないことから起こる。

【患者の訴え】

先生、もう疲れました。SNSを見るのが苦痛なのに、やめるのが怖いんです。 「誰かが楽しそうなパーティをしているんじゃないか」「重要なニュースを見逃して、自分だけ話題についていけなくなるんじゃないか」……そんな不安(FOMO)に襲われて、5分おきにスマホをチェックしてしまいます。 本当はもっと本を読んだり、ゆっくり寝たりしたいのに、指が勝手にアプリを開いてしまう。情報の波から降りるのが怖くて、ずっと溺れているような感覚なんです。

【診断】

あなたの症状は、パスカル哲学における「気晴らし(ディヴェルティスマン)」への病的依存です。 パスカル先生はこう言いました。「人間のあらゆる不幸は、部屋に一人でじっとしていられないことから生じる」と。 人間にとって、何もしないで自分自身と向き合うことは、実は死ぬほど苦痛で退屈なことです。なぜなら、そこで自分の弱さや死すべき運命(悲惨さ)を思い出してしまうからです。 だからあなたは、SNSという絶え間ない「ノイズ」を自分に浴びせることで、自分自身について考える時間を必死に消そうとしているのです。あなたが怖がっているのは「情報を見逃すこと」ではなく、「静寂の中で自分自身と向き合うこと」なのです。

【処方箋】

パスカル先生は、あなたに「惨めさからの逃避をやめる勇気」を処方します。

理論の解説: これを「王様と道化師」に例えてみましょう。 どんなに偉い王様でも、一人きりで自分のことだけを考えていたら、すぐに自分の無力さに絶望してしまいます。だから王様の周りには、常に狩りや賭け事、道化師の冗談といった「気晴らし」が必要です。 現代のSNSは、ポケットの中にある最強の「気晴らし」です。あなたは不安だから見ているのではなく、「自分を見ないで済むように」あえて不安な情報を探しに行っているのです。 しかし、気晴らしで誤魔化している間、魂は決して満たされません。本当の安らぎは、気晴らしの喧騒を離れ、静寂の中で自分の惨めさと偉大さを同時に受け入れた時にしか訪れません。

アクションプラン:

JOMO(Joy Of Missing Out)を実践する FOMO(見逃す不安)の逆、JOMO(見逃す喜び)を知ってください。「あのニュースを知らない」「その話題には乗れない」と言うことは、恥ずかしいことではなく、「私はその時間で、自分の人生を生きていました」という誇らしい宣言なのです。

「5分間の虚無」に耐える スマホを別の部屋に置き、ただ椅子に座って5分間、何もしないでください。最初は猛烈な退屈と不安が襲ってきますが、それが「気晴らし」を求めて暴れる自我の姿です。その不安を観察し、やり過ごせた時、あなたは情報の奴隷から解放されます。

「知らなくていい権利」を行使する 世界で起きるすべてのことを知る必要はありません。自分に関係のない情報を遮断することは、無知ではなく「知性の防衛」です。

【用法・用量】

この考え方を取り入れると、情報の空白が「孤独」ではなく、自分を取り戻すための「贅沢な休息」に変わります。

ただし、パスカル先生のようにあまりに深く人間存在について考え込むと、今度は実存的な不安で夜も眠れなくなる副作用があります。適度においしい食事や睡眠をとって、物理的な幸福も大切にしてください。

ニュースを見逃しても、世界は回り続けます。でも、あなた自身の心を見逃したら、あなたの世界は終わってしまいますよ。

お大事に。