お金・格差

【処方箋 No.044】「まだ足りない」という呪いを解く、大富豪の知恵

処方医: Dr. ルキウス・アンナエウス・セネカ
2026年2月1日
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貧しい人とは、少ししか持っていない人ではなく、もっと多くを欲しがる人のことです。

【患者の訴え】

先生、通帳の残高を見るのが日課です。客観的に見れば、老後も暮らせるだけの貯金はあるはずなんです。 でも、「もしハイパーインフレが起きたら?」「もし大病を患ったら?」と考えると、不安でたまらないんです。お金を使うのが怖くて、カフェのコーヒー代すら惜しんでしまう。 数字が増えても安心できず、むしろ「これを失ったらどうしよう」という恐怖が増すばかりです。私は一生、通帳の数字に脅えながら暮らすのでしょうか。

【診断】

あなたの症状は、哲学的には「富の奴隷化」による精神的貧困です。 セネカ先生は言いました。「貧しい人とは、何も持っていない人のことではない。もっと多くを欲しがる人のことだ」。 あなたは「お金さえあれば安心できる」と思っていますが、それは間違いです。今のあなたは、お金というご主人様に「減るのが怖いか? ならもっと貯めろ!」と命令され、鞭で打たれている奴隷の状態です。 不安が消えないのは、貯金が足りないからではありません。あなたが「失うこと」を過剰に恐れ、富を自分の道具として使いこなせていないからなのです。

【処方箋】

セネカ先生は、あなたに「貧乏の予行演習」という荒療治を処方します。

理論の解説: これを「避難訓練」に例えてみましょう。 火事が怖い人は、ただ震えているのではなく、実際に避難訓練をして「いざとなっても逃げられる」と体で覚えることで安心します。お金も同じです。 セネカは、大富豪でありながら、時々あえて粗末な服を着て、固いパンと水だけで数日間過ごしました。そして自分にこう問いかけました。「私が恐れていた貧乏とは、この程度のことか?」と。 「最悪の場合でも、水とパンがあれば私は生きていけるし、幸福でいられる」。この確信こそが、お金への恐怖を消し去る唯一の方法なのです。

アクションプラン:

週末「0円キャンプ」を実践する 次の週末、お金を一銭も使わずに過ごしてみてください。冷蔵庫の余り物で料理し、図書館で本を読み、公園を散歩する。それでも十分に楽しいことに気づくはずです。「お金がなくても私は幸せになれる」という事実は、何億円の貯金よりも強力な安心材料になります。

お金を「航海の風」と心得る セネカは、富を「賢者の奴隷であり、愚者の主人である」と言いました。賢者は、富(風)があればそれを使って遠くへ行きますが、風が止まっても「まあ、漕げばいいか」と動じません。お金はあなたを助ける道具にすぎないことを思い出してください。

「十分(enough)」のラインを引く ゴールテープのないマラソンは地獄です。「これだけあれば生きていける」という最低ラインを計算し、そこを超えた分は「人生を楽しむためのボーナス」と割り切りましょう。死ぬ時に一番お金持ちでも、天国には持っていけません。

【用法・用量】

この考え方を取り入れると、通帳の数字が「生存のための生命線」から「人生を彩るためのポイント」に見えるようになり、恐怖ではなく感謝の気持ちでお金を使えるようになります。

ただし、セネカ先生のように極端な粗食を毎日続ける必要はありません。あくまで「いざとなれば耐えられる」という自信を持つことが目的です。

本当の富とは、大金を持っていることではなく、大金を恐れない心のことです。

お大事に。